マキャベリが経営アドバイスをするとしたら その3

マキャベリ著作の「君主論」に基づいて「マキャベリが経営アドバイスをするとしたら」というテーマで書いていきます。

 

 

気前が良いという評判をとるために、君主がこの美徳を使おうとすれば、自分に害を及ぼさずにはいられないから、賢明であるならば、君主は吝嗇ん坊の名前など気にしてはならない。

 Nicolò Machiavelli (1532) Il Principe 君主論河島英昭訳、岩波文庫、1998年,p.120)

 

 

「気前の良さと吝嗇について」という章で出てきた文章で、文章中の「この美徳」とは前の文章から見て【惜しみもなく与える】ということでしょう。

 

社長が気前良く、何度も割引キャンペーンなどを行っていたらどうなるでしょうか。

 

お金があるうちはいいですが、

 

彼が貧しくなってしまったために、誰も彼を尊敬しなくなるであろう。

(上掲、p.120)

 

同じ評判を保とうとしてもお金は有限ですから、無理があります。

 

 

これを書いていて思ったのがマクドナルドです。一時期値段を下げて、価格破壊とも呼ばれる戦略を取っていたことがありました。初めは良かったのですが、単価が下がったために採算が悪化してしましました。(環境の変化もあったようです)

 

 経営を立て直すために値上げしますが、反発にあって、再び値下げします。しかしお客さんは思うように戻らなかったそうです。

 

 要はお客さんが値下げに慣れてしまったために、再び値下げをしてもインパクトが無くなってしまったのです。

 

 別にこの記事を書き始めた時はマクドナルドのことなど頭になかったのですが、ふと思いつきました。マキャベリの考えを経営に当てはめてみるのも案外間違っていないのでは?と思いました。

 

君主論」ですから、国を治めることについて書かれている本です。しかし人間という存在は変わりませんから、応用が利くということでしょうか。

 

今回は社長、経営者という立場で考えましたが、次回は同じ気前の良さというテーマでもこれから社長、経営者になろうとする人間の立場で考えてみたいと思います。

 

ぜひ次回もご覧ください。

 

 

マキャベリが経営アドバイスをするとしたら その2

前回に引き続き、マキャベリが経営アドバイスをするとしたらというテーマで書いていきます。

 

あなたが皆から選ばれて社長になったとします。しかし従業員の中には他の人を推して反対する人もいました。

社長になった後、反対していた人たちとはどう接すればよいでしょうか?

 

人間は、危害を加えられるであろうと思い込んでいた相手から恩恵を施されると、そういう恩人にいっそうの恩義を感じてしまうものである

Nicolò Machiavelli (1532) Il Principe 君主論河島英昭訳、岩波文庫、1998年,p.76)

 

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マキャベリ

 

 ここでは、君主と民衆という関係で述べられていますから、社長と従業員では確かに違います。しかし人間の心理という面では共通しています。鋭い人間洞察をするマキャベリから学べることはあると思います。

 

人間は反対していた人から親切にされたり、何か利益を図ってもらったりすると恩義を感じてしまうものです。

いっそ、自分たちで推挙した人よりも好感を抱いてしまうかもしれません。

 

なので反対してきた人たちとは、距離を置かず、むしろ便宜を図るつもりの方がいいでしょう。

私が思うに、反対してきた人たちを蔑ろにすると、組織は分裂してしまいます。

○○派と××派というように。

 

自分に反対してきた人こそ味方に付けましょう!

マキャベリが経営アドバイスをするとしたら

マキャベリズムの語源にもなった、ニッコロ・マキアヴェッリマキャベリ)。

簡単にどんな人物であったのかまとめます。

「ニッコロ・マキアヴェッリは、1469年5月3日、イタリアのフィレンツェ市中に生まれた。」

Nicolò Machiavelli (1532) Il Principe 君主論河島英昭訳、岩波文庫、1998年,p.359)

(引用は訳者の解説部分です)

 

「1498年5月28日、前述のごとく、29歳になったばかりのマキアヴェッリは、フィレンツェ政庁第二書記局員に採用され、6月15日には、第二書記局長に選任され、さらに7月14日には《軍事十人委員会》担当の書記官にもなった。」

 (上掲、p.365)(引用は訳者の解説部分です)

 

「軍事問題とその状況視察のために、各地へ赴いて、《軍事十人委員会》に数々の提言と報告を行った。」

 (上掲、p.366)(引用は訳者の解説部分です)

 

 

用は外交官と言っていいですね。

 

 

「こうして、マキアヴェッリの公人としての歳月を振り返ってみると、私たちの《フィレンツェ政庁書記官》は、文字どおりに東奔西走し、公務に忙殺されつつ、14年間を過ごした。」

 (上掲、p.371)(引用は訳者の解説部分です)

 

まとめるのが難しいですが、年に何回も外国へ視察しに行き、その状況と自分の見解をフィレンツェ本国へ報告したという感じです。

 

その後の人生は、地下牢に閉じ込められ、散々な目に合ったり(一か月弱で釈放されすが)あまり幸福ではなかったようです。

 

すみません。はしょり過ぎましたが、長くなりそうなので本題へ。

 

テーマがマキャベリが経営アドバイスをするとしたらなので、あなたが会社を経営している社長だとします。

 

「なるべく少なく味わうことによって、なるべく少なく傷つけるように、加害行為はまとめて一度になされなければならない。けれども恩恵のほうは少しずつ施すことによって、なるべくゆっくりと味わうようにしなければならない」

(上掲、p.72)

 

ここでは君主が臣民に対してどのように振る舞うべきか、書いてあるわけですが、君主を社長と置き換えると、

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マキャベリ

「給料を減らすとか、従業員が文句言いそうなことは一気に行って、逆に給料を上げるとかは少しずつ、何回にも分けてやるといい」

とか言いそう。

 

実は、引用は虐殺とか、極悪非道なことについて書いてある章から取ったものです。

従業員の給料を下げることは極悪非道とまでは言えませんが、悪事は一挙にやってしまうのがいいと書いてあります。良くないのが、

「初めのうちはわずかな残虐であったのが、時と共に消えるどころかそれが募っていってしまう場合である。」 

(上掲,p71)

従業員にしてみれば、給料がだんだん減らされたら、不安になるし、経営者に対して不満が募る。

 

給料上げたり、有給取りやすくするとかは少しずつ分けて行って、ありがたさをゆっくり味わうようにした方がいい。

 

人間悪いことが続くと耐えられませんよね。どうせ悪いことをするなら一挙に済ませてしまいましょう。

 

引用ばかりになってしまいましたが、マキャベリシリーズこれからも何回か続けようと思います。

 

それではまた!

ブログ始めます。西洋史などあれこれ

名前は湖田新一(こだしんいち)です。

 

西洋の歴史、書物などから生きるヒントを得る・・・そんなブログにしたいと思っています。

 

気まぐれで違うテーマでも書くかもしれませんが。

 

好きなこと言葉は、合理的戦略的効率的

 

座右の銘一石二鳥

 

座右の銘は一石二鳥です」などと人に言ったら笑われそうですが、

カッコつけて言うと、一つの行動で、二つの目的を達成する。

これが二つでなくて、三つ、四つでもいいわけです。

 

このブログを始める理由もそうです。

1.本を読む

2.ブログを書く

3.ブログを皆さんに読んでもらう

 

 

 

大抵は1の「本を読んで学ぶ」ことで終わりですが、

2の「ブログに書く」という行為で、人に伝えるように書かなくてはなりませんので、自分の頭の中が整理されると思います。

さらに3.の「ブログを読んでもらう」ことで、他の人に面白さや役立つ事柄をお伝えすることができます。

 

自分でノートに書いてまとめるだけだと、頭の中が整理されるだけですが、

ブログという形式を取ることでそれプラス、皆さんに価値を届けることができます。

(少しでも皆さんに役立つ情報であるように頑張ります)

 

ブログを始めるにあたって一石二鳥を調べましたら、

17世紀のイギリス ことわざ「kill two birds with one stone.」の訳語から来ているみたいです。

wikiで出てきたので正確か分かりませんが。

一石二鳥 - Wikipedia

 

以上、よろしくお願いします!