マキャベリが経営アドバイスをするとしたら その4

 気前の良さと吝嗇について

 

 前回のブログでは、気前の良さが身を滅ぼすことについて書きました。

 

 しかし今回は、これから権力の座に上ろうとするもの、現代風に言うならば、出世して社長や取締役になりたい人について書きます。

 

 

あなたはすでに君主になっているのか、それともこれから君主の座を獲ろうとしているのか。第一の場合ならば、この気前の良さは害をもたらす。

第二の場合ならば、気前が良いとか、そうみなされることは、いかにも必要である。 

Nicolò Machiavelli (1532) Il Principe 君主論河島英昭訳、岩波文庫、1998年,p.121) 

 

以下は本の内容と私見を混ぜて書いています。ご了承ください。

 ここでマキャベリカエサル(ローマの政治家、軍人)のことを持ち出し、気前の良さで権力の座に上り詰めたと言います。カエサルはかなり金遣いが荒かったと伝えられています。

 もっとも、カエサルは権力を握り、ローマの頂点へ昇り詰めたかに思われましたが、これからというときに殺されてしまいます。

 

そしてカエサルはローマの君主の地位へ昇ろうと欲した者たちの一人であったが、もしも、その地位へ昇ったあと、さらに生き続けたとしても、あのような出費を抑えなかったならば、さしもの権力の座でさえ崩壊させることになったであろう。 

(上掲、p.121-122)

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マキャベリ

既に社長など組織のトップになっている人はケチでいた方がいい。これからなろうとする人は、気前が良いという評判があった方がいい。

 しかしこの気前の良さも注意が必要です。

 前回のブログで書いたように、お金は有限で、使っていったら、自分を擦り減らしてしまうからです。

 

 ではどうすればよいか。「君主論」で書かれていることは昔の話です。昔は軍隊で略奪や強盗、徴発で物資を調達できました。そして奪った『他人の所有物を分配』すればよいのです。他人の物なら気前よく仲間に与えて、自分の名声を高めていくことができます。

 

 現代では難しいですね。でも万が一他人からお金や物がもらえる立場にあったら、それを惜しみなく支持を取り付けたい人に与えましょう。

 

 「自分の財産」や「部下の財産」からお金を出して他の人に渡すということだけはやってはいけません。あくまでも出すなら「まったく他人の所有物から」です。

 

 他人から貰えるなら苦労しませんがね・・・。

 

自分の意見と本の内容が混ぜこぜになってしまいましたが、(本当は良くない)気になる人は「君主論」を実際に読んでみてください。結構面白いです。

 

この記事が少しでも気に入っていただけたら、ぜひ読者になってください。よろしくお願いします。

 

湖田新一